目で話す <7>
そのトヨタにはたくさんの整備士と営業の人がいます。
ですが、もちろん私の車のドアを直してくれたのはトヨタさん。
なにも指名して直して頂いた訳ではありません。
同じお客さんは同じ人が担当するのかとも思いますが、とにかくトヨタさんが私の車のドアを直してくれました。蝶つがいがずれてしまっていたそう。
「蝶つがいがずれていたけど直った」と座って待っていた私に向かってトヨタさんは言いました。
「修理代は??」と言葉にはしないで、私は彼の目を見て心の中で聞きました。
彼は黙ったままうなずきました。
え〜っ!!なんで私が聞いた事がわかるの〜??と思いましたが
彼がうなずいただけで「いらない」という返事だと私にもわかりました。
なので「ありがとう」とだけ私が言いました。
これで、私がわかったのをわかったトヨタさんは、お店の出口の方へつかつかと行ってしまいます。
なので私もその後にくっついて出口へ向かいました。
ドアの所で立ち止まった彼の横を通り過ぎて駐車してある車へ向かう私の後ろ姿に
「また何かあったらねっ!!」と彼の声が聞こえました。
うんっ とうなずき胸がいっぱいになりながら車に乗り込みました。
車で通に出て、ちらっとトヨタさんの様子を見てみると
ひざに手をつきがっくりとうなだれていました。
それを見たら、私も切なくて切なくて涙が出そうになりました。
トヨタさん、整備士なのですが口数が少ないのです…。
それにしても、修理代金について私にはひと言もしゃべりませんでした。
ただで修理してもらっちゃいました(笑)
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